私がまだ小学生の頃、マンションの4階から落下したという猫の診察に立ち会ったことを覚えています。幼いながら「4階から落ちたならさぞかし外傷もひどく、大変なことになっているんだろう。」と予想しながらその診察を覗いてみると、その猫は興奮しているものの顎と前足の一部にわずかな擦過傷しか怪我を負っていませんでした。その時の記憶のせいだけではありませんが猫はちょっとした落下なら身体を翻し上手に着地し、滅多に骨折なんてすることはないと思っていました。獣医師になってからも猫の骨折といったら交通事故がほとんどでしたが、最近は室内での落下事故による骨折症例の対応をさせていただくことが増えております。最初の症例はキャットタワーから落下して大腿骨遠位成長節という部位を骨折(キルシュナーワイヤーにて整復)。次の症例は遊んでいたカーテンレールから落下、落ちた場所に段差があったようで大腿骨骨幹部を骨折(ロッキングプレートにて整復)。最後の症例はいつもひなたぼっこをしている2階のベランダから落下し脛骨遠位を骨折(ロッキングプレートとラグスクリューにて整復)。どの子も性格が良く非常におっとりしてる猫でした。猫の飼育も室内が当たり前になってきた今日この頃、ちょっと運動能力低下が心配になります。
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