私たちの業界では人気犬種に比例して、特定の症状や疾患に接することが増える傾向にあります。レトリーバーが人気の際には股関節形成不全、ダックスフンドが人気の際には椎間板ヘルニア、そしてトイプードルが人気の現在では膝蓋骨内方脱臼(←整形疾患ばかりですが)。当院でも膝蓋骨内方脱臼は手術症例として対応することが多くあります。それに比べると膝蓋骨外方脱臼は大型犬種に多く観察される病態であるため最近ではあまり遭遇することがありませんでした。そんな中、6ヶ月のグレートピレニーズの膝蓋骨外方脱臼(両側性)症例の紹介を受けました。写真を見ていただくと両膝の膝蓋骨が外側に脱臼していることがおわかり頂けるかと思います。
膝蓋骨が脱臼していると膝関節が安定しないためフラフラした歩行になってしまいます。また、膝蓋骨外方脱臼は強い痛みを伴うことが多いため日常生活にも大きく影響してきます。まずは気にしている側の手術を行い、約3週間後反対側の手術を行いました(←術前の写真と比べて頂くと膝蓋骨が正常な位置に整復されていることがわかります)。術後3ヶ月が経ち、紹介してくださった先生とお話しする機会があったので経過を伺ったところ、体重も10kg増え元気に歩いているとのことでした。術後管理がなかなか大変でしたが手術してあげたことでQOLを高めてあげることができた症例でした。
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