2011年になったなぁ・・・と思いきや、早くも1ヶ月が過ぎてしまいました。初エントリーにしてはちょっと重い内容になりますが、年始に診察した2頭のダックスの話になります。1頭目は同居犬と喧嘩し腰を痛めたようで完全に腰抜け状態で来院されました。自分の力では全く立つことができませんでしたが、深部痛覚(足先を強くつねることでみられる痛み)があったので薬を使っての内科療法とレーザーによる理学療法を行いました。2頭目は急に腰が抜けてしまい、3日間近所の病院でステロイドによる治療をうけてからの来院でした。やはり自分の力では立つことができず、深部痛覚もわずかにありました。手術を希望されての来院でしたが、不随の様子(脚に力が入らなくなった状態)に異常を感じたためMRIを撮影してもらいに専門施設に足を運んでもらいました。結果は【脊髄軟化症】 脊髄の軟化が止まってくれれば何とか生きながらえることはできますが、どんどん進めば命が脅かされる病気で、手術はもちろん内科療法や理学療法でも症状を治めることが困難な脊髄疾患でした。ブーム初期頃から飼われ始めたダックスもそろそろ病気に気をつけ始めなければならないなぁと思った矢先に襲いかかってくる脊髄疾患。腰抜けの症状の見極めは早めが肝心です。早めにかかりつけの病院や専門機関にお問い合わせください。
P.S 1頭目のダックスは順調に回復し、短い散歩ができるようになってきました。2頭目のダックスは軟化症の進行が止まり、車いすでの生活を送っているようです。自分の脚では歩けなくなってしまいましたが命あっての物種、頑張ってほしいものです。
年末年始の診療について
今年もあっという間にこのお知らせをする時期となってしまいました。年末年始は下記のような診療となりますのでよろしくお願いいたします。病気や事故のない年末年始をお過ごしくださいね。
12月30日(木)〜1月3日(月)休診
1月4日(火) 午前10:00〜12:00 午後3:00〜5:00
1月5日(水) 通常診療
尚、急患についてはできる限り対応させていただきます。電話は留守電になっておりますが、お名前・連絡先・症状などの伝言を必ずお残しください。
やっ、やばい。
ご無沙汰しております←という言葉での書き出しではじまる投稿ばかりなので、今回は今の心情をタイトルにしてみました。前回の投稿よりはや3ヶ月、このホームページも放置気味でどれだけの方が訪れてくれているか分からない状況ですがこれまでのご報告を。
大学院の研究実験はなかなかうまく進まず試行錯誤の日々が続いております。実験や仕事の合間に海外の文献を翻訳し、自分の実験の参考になるところをピックアップしております。英語はおかげさまで読むのがあまり苦にはならなくなりました(とは言っても電子辞書を引きまくりですが)。
病院のほうですが、今年の異常な暑さは飼い主さんの思考をも鈍らせてしまったのでしょうか?8月初めの頃の出来事なのですが、午後一番の暑い時間帯、窓越しにちょっと太めの黒ラブが公園のほうに歩いていきました。こんな暑い時間に大丈夫かなぁと思っていた矢先、途中で倒れてしまったと飼い主さんが大急ぎで飛び込んでこられました。とりあえず水道の近くに連れて行きガンガン水で冷やしながら救急処置。無事に帰ることができましたが、飼い主さん曰く‘散歩してあげないと可哀想だから’ということでしたが、自分も炎天下での処置でクラクラしてしまい“次は気をつけて”というのが精一杯でした。手術のほうではお盆中に駆け込みの骨折手術、そしてここのところなんと言っても腫瘍関係が増えました。ちょっとしたできものが悪性だったりと、飼い主さんによる発見から手術の依頼によって早期治療につながるものもあれば、抗ガン治療をしても完治が望めないものなど、メスを握りながら『これは悪性じゃなければいいなぁ』と思うくらい。ちょっとの出来物でも心配だったら早めに受診してあげてください。この投稿を書きながらも、数日後にまた腫瘍の手術の依頼が来ています。頑張っていこう。
ご無沙汰しておりました。
大学院生活も2年目に突入し、正式な研究課題も連休明けに決まり、ラットを使用しての予備実験が始まりました。犬猫なら小さいといっても2kg位なので手術もし易いのですが、自分が実験で使用しているラットは約300g。手術する部位をしっかり確認しなければならないのでサージカルルーペという拡大鏡を覗きながらの手術をしています。慣れないせいか1匹を手術するのがやっとという感じなのと、組織が犬猫に比べると非常にデリケートで悪戦苦闘しております。そんな中、病院の方でもちょっと大変な手術が続いておりましたが、ラットに比べると視野が大きな犬猫では気分的にもリラックスして行うことができ術後も良好で一安心といった感じです。ただ1つ最近切々と実感しているのは体力の低下・・・というか疲れのぬけが悪いことでしょうか。このところの熱帯夜でしっかり睡眠がとれず、気がつくともう朝なんてことが続いています。夏が苦手な自分としては、早く涼しくなって欲しいものです。
話はガラッと変わって、あるメーカーからいただいたポスターの話。ノミやダニの活動が活発になる今時期、メーカーとしても商品をアピールするには絶好な時期かと思います。が、ダニ予防薬のポスターには〖夏だ、祭りだ、血祭りだ。〗とのキャッチコピーが・・・。メーカーの方もいろいろ考えられてのこのコピーだったのでしょうが、自分としてはちょっと・・・な感じだったのでお蔵入りにさせていただきました。言葉から連想することは人それぞれですが、皆さんはどんな感じでしょう。
G.W中の診察時間のお知らせ
29日 木曜:休診日
30日 午前10:00〜12:00 午後3:00〜6:00
1 日 午前10:00〜12:00 午後3:00〜6:00
2 日 午前10:00〜13:00 午後休診
3 日 午前10:00〜13:00 午後休診
4 日 午前10:00〜13:00 午後休診
5 日 休診
6 日 木曜:休診日
尚、急患に関しては可能な限り対応いたします。留守電の場合でもお名前・症状などをお残しください。
もうすぐ予防シーズンが始まります。
早いもので今年も狂犬病予防接種やフィラリア・ノミ・ダニ予防のがやってきます。予防関係の薬もラインナップが充実し、病院としても選択の幅が広くなりました。当院はミルベマイシン(←まだジェネリックが発売されていない)を主成分とする錠剤と、イベルメクチン(←ジェネリックが発売されている)を主成分とするチュアブルタイプとタブレットタイプを使用する予定です。イベルメクチン製剤に関しては様々なラインナップが充実し価格の幅も大きいようです。BSEの関係か飼い主さんの関心度も高くなり、製造元や含まれるものが国内のものかあるいは海外のものかかという事も重要なようです。フィラリア予防薬で検索したところちょっと古いものですが、こんな記事を見つけましたURL:http://www.shizushin.com/news/social/shizuoka/20 本来獣医師の処方がないと買えないはずの予防薬が売買されていた話ですが、どこから入手したのでしょうか?予防薬を動物病院で買うと高いといったイメージがあるかもしれませんが、ジェネリックもありますので是非お掛かりの動物病院に相談してみてくださいね。
検査をする側・される側
この仕事をしていると検査をする側であるために、される側の気持ちや体験というものがないので患者さん側にたった感情がどんなものかというのは察し得ないところがあります。そんな自分でしたが、約1年ちょっと前に軽いメニエル症を患ったことをきっかけに採血の体験やら血液検査の結果報告など、する側からされる側に変わったことで患者さんに対してどのように説明すべきか今まで以上に考えるようになりました。そして最近、内視鏡で自分の胃の中を覗いてきました(一般的には胃カメラっていうやつですね)。内視鏡は取り扱ったこともあるので実際先生がどのような感じで処置をするのか、自分の胃の中はどうなっているのか興味津々でいたのですが [もっと読む…] about 検査をする側・される側
あけましておめでとうございます。
新年あけましておめでとうございます。皆さん年末年始は何事もなく過ごすことはできましたか。自分にとって12月というのは鬼門のようで一昨年前はメニエル症(軽度のものでしたが)、そして昨年は新型インフルエンザとなにかしら体調に問題を起こす月のようです。とはいえ新型インフルエンザも思ったほど症状は酷くなく、熱も最高38℃までしか上がりませんでした。噂ばかりが一人歩きし非常に怖いものというイメージがありましたが、適切に対応すればふつうの風邪と同じくらいで済んでしまうものなのかもしれません。ということで今年は一年を通して健康に過ごせるように心掛けたいなぁと思っております。
写真(中央にある)は昨年末導入したアイデックス社のVetlab Stationです。血液検査の機械はずっとアイデックスさんにお世話になっていたのですが、海外の機械のため表記が全て英語で患者さんに説明するに当たって少々不便を感じていました。が、これを導入したことにより表記が日本語となり、各項目についても詳しい説明書をつけることができるのでインフォームドコンセントにはうってつけの機械です。さらには継続定期に患者さんの結果を集積することができるので経過観察にも最適、患者さんにとっても病院にとってもありがたい機械です。年末どうしようかと悩みましたが導入して正解でした。今年も機械の導入に限らず、新しい情報や技術、そして大学院で学んでいることを現場にフィードバックできるよう頑張っていきますのでよろしくお願いいたします。。
どんな研究がしたいですか?
大学院に入学して早8ヶ月。1年目は授業に出て単位を取得することがメインですが、同時にどんな研究をすすめていくかということも考えねばならない期間でもあります。てっきり大学院というところは研究課題が与えられ、それを黙々とこなしデータをまとめ最終的に論文にするところだと思っていました。ところが、自分が所属する教授の最初の一言は【どんな研究がしたいですか?】というものでした。その問いかけに〖将来、小動物臨床の現場で役立てるもの〗としか答えることができなかった4〜5月でしたが、とりあえず予備研究ではありますが課題が何とか決まりました。内容については論文に関わるものなのでこちらでは公にはできませんが、もし自分が思っているような研究ができ論文にまとめることができたらと思うとなんだかわくわくしてきました。とは言ってもクリアしなければならない事もあるので当面は研究に結びつく予備実験で結果を出さねばなりません。臨床の現場とはまた違った方向で物事を見ていく大学院での研究。これから楽しくなりそうです。
組織検査の結果は・・・。
9月はなにかと手術がたて込んでいました。その中でも自分が宇都宮で仕事を始めた頃からの患者さんのコーギーのお話です。昨日までは元気だったのに、今朝は散歩にも行きたがらないし食欲もいまいちということで来院されました。お腹を触ってみるとどうも触られるのが嫌そうで、静かに触診をすすめていくと怪しげな固まりが。血液検査では異常値は認められなかったけれど、超音波検査では明らかに腫瘍らしきものが。飼い主さんの同意を得て即開腹手術をさせてもらいました。開けてみると・・・ここのところ見慣れた脾臓に大きな腫瘍が2つ確認されました。“また血管肉腫か・・・”嫌な思いが頭をよぎりましたが血管を速やかに処置し脾臓を全て摘出しました。飼い主さんには結果によっては最悪な場合の話もしながら、病理組織検査の結果を待ちました。結果は血腫。血腫とは出血した血液がひと塊となってたまった状態をいうのですが見た目は悪性の血管肉腫そっくりでした。悪性ではなかったという結果に自分も飼い主さんもほっと一安心。かと思えば、ここ数ヶ月大きさの変化もほとんどなかった皮膚のしこりを手術し検査したら、肥満細胞腫という悪性腫瘍で経過によっては再手術&抗ガン治療をしなければならない症例も控えています。しかし腫瘍やガンを患うペットがホントに増えました。遺伝なのか、交配の問題なのか、それとも食生活の問題なのか。腫瘍やガンの予防医療が進むことを願うばかりです。