自分が大学を卒業して臨床の世界に入ったとき、“絶対〜”という言葉ほどこの世界で安易に使ってはいけないと思ったことがありました。交通事故で運ばれてきた猫なのですが、レントゲン写真や血液検査の結果を見る限り“どう見ても助からないだろう”と皆が思っていた症例が日を追うごとに快復して若干の後遺症は残るものの無事に退院してゆくことができました。これに対して、ついさっきまで走り回っていた元気な犬が急に倒れ込んだと思ったらそのまま亡くなってしまったということもあります。
人医療でも動物医療でも絶対ということは無いと思っています。特に直接本人に話を聞くことのできない動物医療では、お掛かりになっている先生の経験と検査結果などから判断して治療してゆくわけですからなおのことです。
患者さんとしては“絶対大丈夫ですよ!”という言葉をかけてもらいたいと思います。けれども動物医療の世界では本当に何が起こるか予期できないことがあります。(自分は実家の病院を継いでからこの言葉は使ったことがありません。)もし良い意味でも悪い意味でも“絶対〜”という言葉をかけられたとしても一喜一憂しないでくださいね。
おすすめ本!
この本は患者さんから頂いたのですが、患者さんの立場からするとこんなにいい本はないんでしょうか。もちろん獣医の立場から読んでも改めて勉強になることが書いてありました。
人間ではよく週刊誌などに“この病気ならこの病院”とか“〜〜の名医”なんていう特集が組まれることがありますが動物ではなかなかこのような特集は組まれませんよね。それをこの本が全て解消してくれるのではないでしょうか。私の知っている限り獣医界のプロフェッショナルな先生方ばかりです(なかには非常に個性的な先生もいますが)。今、何か病気を患っている方も患ってない方も一度お読みになってみることをおすすめします。ちょっと目から鱗が落ちるかもしれませんよ。(光文社 KAPPA BOOKS 二歩先をゆく獣医さん)
股関節形成不全
ちょっと重々しいタイトルですが、大型犬を飼われている飼い主さんは一度は耳にしたことがある言葉だと思います。この病気は特にレトリバー種によく見かけられる遺伝的疾患です。左の写真の犬もゴールデンレトリバーなのですが、最近右後ろ足を引きずるようなそぶりがあるとのことで来院されました。レントゲン(写真左側が右足)を撮ってみるとどちらの股関節もあまり良くないことがわかりました。飼い主さんは股関節形成不全ということを知ったときショックを受けていたようでしたが、手術以外にも最近は良い治療法があることを説明すると少し安心されたようでした。
股関節形成不全の治療法には内科療法・理学療法・外科療法があります。
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今日で・・・
8月も終わりですね。夏らしい夏ではなかったですが、当院では熱射病の患者さんもなく平和な夏を過ごすことができました。blogを使ったホームページを初めて約1ヶ月経ちましたが皆さんに役立つ情報はありましたか?これからも皆さんに役立つような情報を提供できるように真面目な診療を心懸けてゆきたいと思っています。このホームページに対してのご意見や取り上げてほしい事・直接先生に聞きにくい事などがありましたらどんどんメールあるいはコメントしていただければ幸いです。
明日から9月、気候も安定し始める9〜10月はお医者さんも獣医さんも暇な時期に入ります。こんな時期はいつも忙しい先生も親身に(?)なっていろいろ相談にのってくれるかもしれません。面白い話が聞けるかもしれませんよ!
避妊と去勢のこと
ペットを飼い始めて初めて手術のことを考えるのは、雄なら去勢・雌なら避妊ですよね。問題なのは時期だと思います。最近ではドッグランやペットカフェなども増えてそれらの施設を利用するにあたりいろいろな制約があるようです。ワクチンを接種していることはもちろん、避妊・去勢も制約しているところもあるようです。まあ発情している雌犬がいたらば周りにいる雄犬は気になって仕方がないはずだし、もしドックランだったら大変なことが起きます。
獣医さんの立場としても避妊・去勢の時期についての意見ははまちまちだと思いますが・・・
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食生活について
“うんちが出ない”の日にも少々コメントさせていただいたのですが、皆さんペットの食事はどうなさっていますか?初めてペットを飼い始めた方は“市販されているペットフードしか食べてはいけない!”と思われている方が多いようですがそんなことはないんですよ。
確かにペットフードは優れた総合栄養食であり、与えることも非常に楽です。年齢によって必要な栄養分が調整されていたり、少々肥満傾向の子に対してはダイエットがしやすいものもあります。その反面、グルメ指向の食事も増えておりちょっと前までは考えられなかったような病気(贅沢病)も増えつつあります。これらの病気については後日コメントさせていただくことにして、個人的におすすめの食事を紹介しましょう。
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治療の限界
病気によってはどんなにがんばって治療してもどうにもならないことがあります。それは年齢のせいだったり、悪性度の強いガンであったり。そんな時ってやはり非常に無力感を感じ、もし次に同じような症例がきたらもっと良い対処法はないかと勉強するものなのですが、治療の限界は以外とその病院や担当の先生が作ってしまっているの限界だったりするんですよね。
私が勤務医をしているときに言われたことなのですが、“自分の力量だけで預かっている命の限界を決めるな。”ということでした。かといって自分の力量以上のことをして事故を起こすことはもってのほかなのですが、動物医療のレベルも近年非常に高くなってきています。大学病院はもちろん個人の病院でも規模の大きいところは、個人病院では思いもつかないような治療を行っているところもあります。
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続・パグの五つ子
23日の午前中、11日に出産したパグの五つ子ちゃんが検診にいらっしゃいました。生まれたときは150gだった体重も450gに増え順調に成長しています。みんな元気に動き回るので少々(でもないか)ピンぼけの写真になってしまいましたが、この子達を飼ってくれる方を募集しています。飼い主さんの希望としてはなるべく近所の方が良いということなのですが、仮に遠くてもメールで写真などを送ってくれる方なら構わないとのこと。皆様のご連絡をお待ちしています。
ここでお節介かもしれませんが動物を飼うときのアドバイスを・・・。1つの命を預かるわけですから、それなりの心構えを持って世話をしてあげてください。これから生活していくうえで予防ワクチンを打ったり、避妊や去勢の手術をしたり。もし病気になればそれなりにお金もかかります。ペットは飼い主を選べません。この人に飼ってもらえて良かったと思ってもらえるような飼い主さんになってあげてくださいね。
動物の専門医
人の病院は、内科・外科・皮膚科・小児科etc.と非常に診療科目が細分化され、病気の時にはどの病院に行けばいいのか明快ですよね。夕方のニュースなどでも動物病院特集をやっていたりしますが、救急の場面ばかりがクローズアップされ病院の特徴的なものはなかなか取り上げられていませんよね。
患者さんが本当に知りたいのは、“この病気ならこの病院”といったものではないでしょうか。大学6年間だけでの勉強では専門分野を突き詰めることは非常に難しく、卒業後の代診先の病院や大学院、あるいは独学で勉強によって身につけている先生方が多いのが現状だと思います。首都圏の病院では症例数も多いので“〜専門”という病院が目立ってきましたが、地方の病院ではなかなか単科病院というかたちで経営していくのは難しく専門の道を極めるのは難しいものとなっています。とは言っても我が栃木県にも専門をもたれて開業されている先生が少しずつ増えてきています。
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生みの親、育ての親
私は高校を卒業して、1年間予備校に通わせてもらい何とか藤沢にある日本大学の獣医学科に入学することができました。6年間不自由な思いをすることなく過ごし、無事に獣医師免許を取ることができたのも当病院の院長である父のおかげです。大学卒業後、獣医師として自分に大きな影響を与えてくれたのは永岡犬猫病院院長(現・みなとよこはま動物病院)である永岡勝好先生でした。
動物病院といったら自分の家の病院しか知らなかったのですが、永岡犬猫病院に大学在学中に実習に行ったとき“ほんとにここが動物の病院?”が正直な感想でした。とりわけ目を引いたのが手術室の大きさでした。病院の施設もさることながら、院長の動物を救うことに対しての情熱、新しい手技の開発、獣医師としての姿勢、全てにおいて尊敬でき“ここで修行しなければ”と、ほんの数時間で決心しました。
今でもたまに院長の手術を見学させてもらいに横浜に足を運ぶのですが、バリバリ手術をこなしている姿を見ると“この人にはとてもかなわないな”と思う反面“少しでも近づけるよう努力しなければ”と思う今日この頃です。